低温蒸気加熱加工法完成、「新漬物時代」へ
「低温蒸気」を使った野菜などの加工法は数年前に、かなり世間で注目された。
漬物のような浸透圧を利用した加工方法とは全く違った手法で漬物に似た商品ができるということで、大きな夢がふくらんだものだ。
しかし、ユーザーとして採用した各社は、その時は期待した結果が中々得られなかった。
その間に、機械を供給する会社が倒産して、敢えなく、この方法は夢と消えたか、と思われたが、これを続けて研究していた金子憲太郎氏 (日本獣医生命科学大学教授)
が遂に研究を完成し、実用化したという。 既にこの商品が一部地域で販売されはじめ、評判もよいと聞く。
この技術の応用範囲は業種の枠を超越して広い。
100度以下の蒸気加熱とその後の減圧下での乾燥を連続工程とする方法は、加熱処理の過程でペクチンメチルエステラーゼを活性化し、
細胞壁の強化によるテクスチャーの保持、乾燥野菜の復元性の向上、冷凍障害の緩和等の機能をもつ。
湿状態での加熱による効率的な殺菌は、商品寿命の大幅な延伸が期待できるのだ。
またその後の乾燥は主として自由水の除去を目的としているが、その結果、微生物の増殖は大きく低減する。
生鮮物と遜色のない風味、色調、テクスチャーをもつ新しい野菜加工品の登場だ。
発明者の金子教授は、将来はきのこ類、魚肉、畜産肉の加工にも大きな可能性をみている。 野菜の成分が殆ど全部保持されているので、成分的にも生鮮野菜に極めて近い。
また、製造中にギャバやアラニンが増加するだけでなく、保存性が極めて高く、調味野菜は5~15℃保存で数か月の保存ができ、広域流通も可能だ。
外観的には漬物に類似しており「次世代の漬物」としても大きく期待できる。 復元性も高く、経費は凍結乾燥品より低い。正に「新時代の漬物」といえよう。
5月26日、第1回の研究会を開く。ご参加を。
株式会社食品研究社 社長 園田昭司