食品工場などへの光触媒の利用
1967(昭和42)年の春、夜9時頃に東京大学で酸化チタンの研究をしていた藤嶋昭氏は、
水溶液中の酸化チタン電極に強い光を当てると、表面からぶくぶくと気泡が立ち上がってくる不思議な現象をみつけた。 電流計を覗くと、明らかに電気が流れている。
光を止めると泡がスーッと消え、電流計の針もピタリと停止した。
水に電気を流すと、水が分解されて酸素と水素が発生する。 いわゆる水の電気分解だ。
しかし、電気を流していないのに、光のエネルギーだけで水が分解され、酸素と水素になった。 人類の夢ともいえる“水の光分解”が確認された。
これはのちに「ホンダ・フジシマ効果」と呼ばれる光触媒の現象が発見された歴史的瞬間だった。 当時藤嶋氏は東京大学大学院の学生だった。
いま、光触媒全体の特許で、日本は世界の中で群を抜く件数を誇っている。
光触媒の抗菌・防汚効果に関する特許出願が始まった1992年以降、出願は急増、2000年には800件をこえた。
2001年も1000件をこえ、以後も日本は快進撃が続いている。
日本は基本特許に弱く、他国から導入した基礎技術の改良、周辺、応用に関する特許が主流を占めているが、光触媒については日本がリードしてきた。
ただ、日本の光触媒特許取得の中心であったTOTOの戦略で、技術パートナーを「一業一社」に限定したところから、
技術移転の道を狭めた戦略上の問題が発生していると指摘されている。
しかし、光触媒の技術が環境に威力をもっていることは、食品工場の「光クリーン革命」が起きることを大いに期待させる。
光触媒の持つ酸化還元反応と超親水性を利用して行けば、食品工場への光触媒の利用は夢ではない。
光触媒には撥水性のものと親水性のものがある。食品工場や作業所・事務所などでもよく研究して光触媒の利用をすすめてもらいたい。
株式会社食品研究社 社長 園田昭司