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この半世紀の間に、日本人の食生活は、世界に類を見ない“主食の転換”をした。米食民族といわれてきた日本人の6割が、パンを主食にするようになって、御飯からパンに大転換をしてしまった。わずか数十年で、主食をかえてしまった民族は世界に類を見ない。
アメリカを中心とする連合軍が日本を占領した昭和20年8月15日以降、海外から引き揚げてきた復員軍人、軍属、民間人が数百万人も敗戦後の日本社会に加わった。当然、大都市を中心に、日本は大変な食糧難の時代に入った。食べる物を求めて、わずかな衣類などを農村に持ち込んでコメと交換してもらって命をつなぐ時代に入った。
「売り喰い生活」という言葉も生まれた。この状況の中で、アメリカからの小麦を中心とした食糧援助が日本の社会に、主食の転換を実現させた。特に学校給食へのパン食(御飯の給食は禁じられていた)の供給が日本政府を動かして、全国にパン食を普及する一大運動として進められた。
その裏には、アメリカの余剰小麦を日本社会に売却した米国内の事情もあった。当初フランスへの小麦の売り込みを策したが、断られて、そのハケグチを日本に求めた、という話もある。その余剰小麦を日本に売り込んだ米国のしたたかさ。日本人は“有難い”と感謝しながら米国の小麦をパン食として買い続け、ついに学校給食をパンだけにしたことで日本人の間にパン食が定着してしまった。
今の日本は「朝はパン食」という人がふえてきた。特に若い世代にパン食を好む人が増えている。そのパンの値上がりが今、始まっている。パン食になじんだ人々が、これからどう動くのか、興味が深い。米からパンへの流れが、また米食の復活に動くのか。日本人のパン食への愛着度がどう変化するのか。米食党の私としては、「日本人の二つの“主食”」がどうなるのか、実はその動向が気になっている。
食品研究社 社長 園田 昭司
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