「食大乱の時代」という本が出版された。新興諸国では村落共同体の食料自給構造が破綻(はたん)して農民は金になる作物だけを作るので、東南アジアでは固有の稲作集落がなんとコメを金で買うようになった。今、そこを国際的な穀物価格の高騰が襲う形になったという。
中国雲南省では、耕地がゴム林に変わり、タイ東北部では塩害のため、油ヤシ、キャッサバ、ユーカリへの作物転換が行われ、タイ農民の食料自給構造は破壊された。南アでは化学肥料、ハイブリッドトウモロコシなど高効率の農業三点セットがいきなり持ち込まれて、伝統農業体系がこわされた。
日本でも、農民の高齢化、輸入自由化による圧迫の中、諸経費急高騰、耕作地放棄などが農家の減少をもたらしている。
昨年、「食糧争奪」迫り来る食糧小国の危機、という柴田明夫丸紅経済研究所所長の著書が日本経済新聞出版社から発刊され、「主要穀物市場に異変が生じている」という価格高騰の予告が行われている。一過性ではなく「安い資源」から「高い資源」への変化が起きているというのだ。(本誌既報)
民主党の山田正彦氏は、今年4月に「中国に『食』で潰される日本の行く末」という本を出版した。「このままでいいのか、さらに自給率は大幅に下がっていく!」と指摘し、集落営農の4割が赤字だと警告している。
原油高騰で、油代金が払えず休漁する漁民や中国に食料を頼ろうとする間違った政策から脱して、食料自給率60%、貧困層人口が世界第2位からの脱出の実現を訴えている。
そして「中国食品動乱」(東洋経済新報社)日本政策投資銀行調査部小森正彦課長によれば、世界の食糧需給は危険な領域にあり、日本は中国に食料を頼ろうとしているが、その中国は「世界最大の食料輸入国」であり、中国への依存体質は時限爆弾だという。
難問山積、どう切りぬけていくか。
食品研究社 社長 園田 昭司
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